定温式スポット型感知器(防水型)への変更工事

施工事例2025.07.14

「ランドリールームの火災報知器が、火事でもないのに頻繁に鳴ってしまう」というご相談を受け、感知器の交換工事に伺いました。

原因は、設置されていた感知器の種類と、場所の特性が合っていなかったことでした。今回のミッションは、このミスマッチを解消すること。その工事の舞台裏と、現場で感じた苦労、そしてプロとして「これだ!」と快哉を叫んだ改善効果について、リアルな感想を交えてお話しします。

【専門用語解説】今回の主要感知器

  • 光電式スポット型感知器(煙感知器): 火災のを検知するタイプ。火災の早期発見に優れています。
  • 定温式スポット型感知器(熱感知器): 周囲のが一定温度に達すると作動するタイプ。
  • 防水型: 内部に湿気や水滴が入りにくい構造で、湿度の高い場所に適しています。

工事の舞台裏:深夜のホテルでのミッションと地道な作業

なぜ鳴ってしまう?原因は「湯気」と「ホコリ」

ホテルのランドリールームは、複数の大型乾燥機がフル稼働しています。そのため、

  • 乾燥機から出る高温の湯気(蒸気)
  • 衣類から出る細かい糸くずやホコリ(リント)
    が常に室内に舞っています。

これらを、高性能な煙感知器が「火災の煙だ!」と勘違いして、警報を鳴らしてしまっていたのです。これが「犯人なき火災警報(=非火災報)」の正体でした。
そこで、湯気やホコリには反応せず、本当に火災が起きた時の「熱」にだけ反応する定温式スポット型感知器、しかも湿気に強い防水型への交換をご提案し、工事を実施しました。

具体的な作業ステップと、その裏にあった苦労

ホテルという特殊な環境下、お客様のご迷惑にならないよう、作業は宿泊客が寝静まった深夜に行われました。

ステップ作業内容
1. 準備・養生深夜の静寂の中、音を立てないよう機材を搬入。ランドリー機器や床を汚さないよう、丁寧に養生シートで保護します。
2. 既存感知器の撤去天井の煙感知器を取り外します。
3. 新規感知器の取付新しい定温式防水型感知器のベースを取り付け、配線を接続(結線)します。防水型は、パッキンが正しく機能するよう、通常より慎重な締め付けが求められます。
4. 作動試験専用の加熱試験機を使い、感知器を実際に温めて作動させます。防災センターの受信機(※)まで信号が正常に届いているかを確認します。

【専門用語解説】受信機とは?
各所の感知器からの信号を受け取り、建物全体の火災情報を管理する「司令塔」です。防災センターなどに設置されています。

正直、ここが辛かった…深夜作業のリアル

今回の工事、やはり一筋縄ではいかない部分がありました。

  1. 深夜作業と静寂のプレッシャー
    作業は夜11時から始まりました。日中の疲れと眠気もさることながら、一番の敵は「音」でした。お客様を起こしてはならないというプレッシャーの中、工具を落とす音、脚立を立てる音、全てに神経を尖らせての作業は、精神的に非常に消耗しました。
  2. 頑固な天井ボードとの格闘
    防水型感知器のベースは、通常のタイプより少し大きめです。既存の穴を少し広げる必要があったのですが、天井の石膏ボードが予想以上に硬く、カッターの刃がなかなか入りません。静かに、でも確実に作業を進めなければならない状況で、この地味な作業が一番時間を要しました。

工事を終えて:静寂を取り戻したランドリールーム

苦労が報われた瞬間!劇的に改善されたこと

そんな苦労の末、最後の作動試験も無事にクリア。この工事によって、現場は劇的に改善されました。

  • 非火災報(誤報)の撲滅!
    これが最大の成果です。工事後、お客様に様子を伺ったところ、「あれから一度も警報は鳴っていません!」と満面の笑みでご報告いただきました。湯気やホコリに悩まされることなく、火災の時だけ確実に作動する、信頼性の高い監視体制が実現しました。
  • ホテルスタッフの負担軽減
    頻繁な誤報は、その都度スタッフが現場確認と復旧作業に追われることになります。特に夜間は深刻です。その負担がゼロになったことは、ホテルのオペレーション全体にとっても大きな改善だったようです。

支配人からは「これでスタッフも宿泊されているお客様も、夜中に起こされる心配がなくなりました。本当に根本的な解決になりました、ありがとう!」という、何より嬉しいお言葉をいただきました。

まとめ:「適材適所」が最高のパフォーマンスを生む

今回は、感知器の交換工事について、私の感想を交えてご紹介しました。
この事例が示すのは、「最新・高性能な設備が常にベストとは限らない」ということです。煙感知器は素晴らしい設備ですが、ランドリールームのような場所では、その性能が逆に仇となってしまいます。

その場所の環境や用途に合わせて、最適な機器を選ぶ「適材適所」の発想こそが、誤作動を防ぎ、本当に信頼できる安全環境を創り出すのだと、改めて実感した工事でした。
もし、あなたの建物で原因不明の誤報に悩まされていましたら、ぜひ一度、私たち専門家にご相談ください。

工事前

工事後

交換前との比較

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